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■メッセージ 講師:諸葛正弥より


はじめまして。
進学塾講師として14年間に渡って生徒と関わってきました。
科目は主に理科を指導してきました。

本来は建築設計が専門で、建築設計事務所で勤務をしていた経験や
建築で工学修士まで取得したこともありますが、
傍らで続けていた、塾講師という仕事の・・・いや、生徒と関わる仕事の
やりがいや面白さ、そして共に育つ実感という魅力に引き込まれ、
いつの間にか教育が専門の仕事になっていました。

そうして培った経験を基にして現在は教員対象の各種セミナーや
研修、講演などを行なっております。

そうは言っても、年齢的にはまだまだ若造です。
威厳もまだまだ出そうにありません。
けれど、だからこそ発揮できるエネルギーを活かして教育という世界に
新しい風を起こすことができたら、と思っています。


さて・・・
頻繁に聞かれるので、お答えしておきたい事があります。

なぜ、学校の先生にならなかったのですか?

 一言で答えるのは難しいですが、私はつい最近まで建築設計という仕事で
身を立てていこうと働いておりました。ですから、教職に就くという選択肢を全
く考えていなかったのが本当のところです。

 ただ、過去に先生になりたいという想いがあったことは間違いありません。
高校生の頃には建築設計士か、物理の先生になりたい、と思っていました。
けれど、最終的には建築設計士になることを選択し、先生という仕事を諦めて
大学の建築学科へ進学し、建築設計士の道を歩み始めました。

 その中で、どこか先生という仕事に憧れがあったのでしょう。大学生活の中で
同級生にテスト前に対策授業をする事があったりして、少しずつ授業をすること
に対する興味が強くなり、塾講師という選択肢を選びました。

 思えば、私は欲張りな人間なのかも知れません。私の中である計算が働きま
した。それは塾講師なら、建築設計という仕事をしながらでも続けられる、という
こと・・・
 建築設計士として独立願望が非常に強かったので、生活の補償を作るために
も塾講師という仕事は魅力的でした。そんな風にしてはじめた塾講師という仕事
でした。

 しかしながら人生とは分からないもので

 教職に就いて先生になる、と思っていない私ではありましたが、進学塾の中で
新しい講師を育成する研修を任されるようになって、授業の技術を伝えるという
事に関心が強まっていき、その手法、研修方法などを考え始めたのが2004年
頃のことでした。

 そんな中で、受験に関する無料相談サイトを立ち上げたところ、数多くの保護
者の方々からの相談が来るようになり、学校・塾を問わず、授業に対する改善の
ニーズが非常に強いということを感じ、更にその中に教師からの相談も寄せられ
る様になって、自分が世間に対して役立つことが出来る仕事は一体何なのか、
強く考えさせられる様になりました。

 好きな仕事は建築の設計でした。
 けれど、魅力的な仕事は子供と関わる仕事でした。

 そして、自分が人の役に立てる可能性を感じたのも教育という仕事でした。


 だから、塾講師の経験と技術を活かして教育の仕事にチャレンジしてみよう。
そう思って2005年に「授業技術専門講座」という形で講座を自主開催する様に
なりました。

 私が学校の先生ではないから、こんな仕事をしているのはおかしい、と思われ
るかも知れませんが、建築設計の仕事はプレゼンテーション勝負の世界です。
伝わらなければ仕事になりません。そして塾講師という仕事を通じて、それが授
業の中に活かされてきたという実感を持っています。

 そして、生徒と関わり、話し合い、生徒の意志の力を育てるために、心を震わせ
るハートフルな授業コミュニケーションを展開してきました。

 それは私が過去に受験勉強の詰め込み教育で燃え尽きた経験があるから。


 そんな私だからこそ、
 伝えられる授業の技術がある、と思って研修をしてきました。

 本当に人生とは分からないもので、そんな活動をしていたところ、
 本の執筆依頼まで頂きまして、2007年1月に刊行するまでに至りまして、
本格的に教育の仕事が専門になってきた次第です。

 ですから、学校の先生にはならなかった、のです。
 そしてこれから学校の先生になりたいか、と聞かれたなら・・・

 それは大いに関心があります。
 もし、私に機会と時間があるのなら、チャレンジしてみたいです。


塾講師に学級経営のことなど分かるはずが無い。

 そう言われる事も数多くあります。
 塾講師風情が偉そうな事を言うな、とご批判のメールを頂くことも良くあります。

 否定しません。
 学校の学級経営そのものを私が知り尽くしています。などと偉そうな講釈をする
つもりは全くありません。ですが、あくまでも塾講師の経験という立場と学校の先
生との関わりの中で学んだ事については自信を持ってお伝えしていきます。


 誤解のない様にお伝えするのなら、
 教室管理、質の高い授業空間の創造は人間関係の構築の上に成り立ち、
それにおいて、学校も塾も関係なく、人と人とのコミュニケーションによって形成
されていくものです。
 ですから、その共通項についてお伝えすることで、学級経営のヒントの一つ、
として頂けたなら嬉しいです。

 例えば、出席確認のとき、座席表と照らし合せて生徒がいない場所だけをチェッ
クする方法ではなく、私は手間は掛かりますが一人一人名前を呼び、返事をさせ
ることをお奨めしています。なぜなら、それが生徒との交流の大切な一部分だか
らです。

 全ては子供が伸びるために・・・

 その観点で過去の授業の型として、行なわれてきた行動の一つ一つの意味をも
う一度振り返り、心理的な側面で検証してしくと、実に大切な事が多く含まれてい
たにも関わらず、現在は効率化によって省かれたり形骸化している行動がいくつも
あるのです。

 それを客観的に、塾講師だったからこそ、別の視点から研究をすることができた
と確信しています。

 自分の考えが全てだ。などと言うつもりもありません。
 けれど、そこに何かの気付きや新しい発見が生まれるヒントを見出して頂けたら
これほど嬉しいことはありません。


授業は伝わらなければ意味が無い

 2005年に授業技術専門講座を立ち上げたときに考えた発想です。

 授業は伝わらなければ意味が無い。

 塾講師の私が学校の先生にお伝えできること・・・
 それは当然、科目の研究、ではありませんでした。

 なぜなら、進学塾で教える教科の内容など、受験に特化しているので、
幅が非常に狭いからです。学校の先生の科目研究の幅と比較などできるもので
はありませんし、ましてや私が指導できる様な事などありません。

 だからこそ、「科目に共通する授業の技術」、
すなわち、授業を魅力的にし、生徒に授業の内容を的確に伝えるための技術を
伝えることに特化した講座を作ったのです。

 それが「授業技術専門講座」でした。


 そして生徒が授業を聞く、という環境ができていなければ、当然の様に授業は
成立しません。だからこそ、塾講師は学習する空間をいかにして作るのか、という
ことに注力してきたのです。
 そのノウハウを授業技術の講座の一つとして、お伝えしようとしたのがきっかけで
現在の様な教室管理の研修や、生徒指導に関わる研修を行なう様になっていきま
した。



魔法のテクニックなど存在しません。

 私はこの言葉を良く言います。

 塾講師だから、何か特別なテクニックがあって、それを使えば生徒が言うことを
聞くようになる、というマニュアルの様なものを期待されている事が結構あるので
すが、そんなものは存在しません。

 それは皆さんがよくお分かりの様に・・・

 教育とは、人が人を育てるもの。

 マニュアルの様に型通りに全てがはまるのなら、授業もライブでなくてDVDや
衛星中継の授業で良い。

 けれど、それでは上手くいかない。
 なぜなら、そこには人の心があり、人と人との関わりから生まれる何かが存在
するから・・・

 だから、授業には生身の人が対面するものである魅力があり、だからこそ伝え
られる教育について、もっと考えて頂きたい。


 結局は人を動かすのはテクニックではなく、人と人とのコミュニケーションによっ
て構築された人間関係と想いのこもった心の交流なのです。

 伝えるのは苦手だけれど、時間をかけて生徒と理解し合うのも教師だ、と主張さ
れる方がいるかも知れません。ですが、伝わらず、生徒と教師が正しい交流を持
てずに過ごしてしまう時間をあなたには返してあげられるのでしょうか。
 ご自身の息子、娘が通う学校の担任と上手に交流ができなくても、同じことが言
えるのでしょうか。

 新人でも良い。技術が未熟でも知識が足らなくても良い。
 そこに心のある、的確に伝わる交流ができる教師であれば、その授業はきっと
生徒に伝わるし、生徒は教師の想像よりも多くを学ぶことでしょう。

 なぜなら、生徒は授業を「教師の姿」を通じて見て、そこに魅力を感るから・・・

 伝わる授業のできる教師の姿はそれだけハートフルなコミュニケーションが活発
にでき、より魅力的に映るものです。だから、その教師の授業も魅力的に見えるし
そこから多くを学ぼうとする。

 だから、伝えたつもり、ではなく、的確に伝わる、ということに拘って授業技術の
講座を作ってきたのです。


 これまでの受講者の方々からも
 「授業外の時間がこれほど大切だと思わなかった。」
 「こんな世界があったのか。」
 「こんなに面白い研修は無かった。」
 「新しい視点、発想に気付かされた。」
 「授業での行動をこんなに深く考えたのは初めてだ。」
 「もっと若いうちに知りたかった。若い先生に聞かせたい。」


 という声をいただき、大変光栄に思うと同時に感謝をしています。

 私も受講生と共に学びや気付きを得て成長をしていきたいと思います。
 これからも多くの先生方との出会いがあることを願っています。



                         2007年5月 諸葛正弥(もろくず まさや)